インタビュー記事紹介

  • ■ 『地元を守り活性化を』 北海道シール印刷協同組合 理事長 有原常貴

    新年明けましておめでとうございます。皆様には、平素から組合運営に深いご理解と温かいご支援を賜り、心から感謝申し上げます。

    昨年を振り返りますと、北海道では道産米に対する評価が一層高まり、これに続く道産小麦など食のブランド化と、道産品の海外輸出に向けた取り組みが拡大しております。また、ありがたいことに、来道者数は各月連続で前年を上回り、アジアを中心に海外からの観光客は昨年より30%以上の増加となって、道央圏の百貨店では外国人による売上げが2倍になったそうです。食・観光を巡る明るい動きが追い風となり、道内経済を支えた一年となりました。

    ただ、これらは印刷関連業に限って言えば、一部大手印刷会社での需要増加のみで、一般消費者の節約志向は依然続いており、北海道経済は緩やかに回復しているものの全国水準に及ばず、中小の印刷会社にとっては厳しい状態が続いているのが実情です。今後の課題として、本道の基幹産業である農林水産業に次ぐ、幅広い分野に対しての積極的な働きかけが重要になると考えます。

    また、海外観光客の増加の影には、アジア資本が道内のリゾートホテルの買収を進め、観光資源の開発とそのシステムをけん引しているのも事実です。未来に対しての危機感に目を背けず、各企業が地元を守り活性化し経済を押し上げなければと、さらにTPP問題を考えればなお一層に思うところです。本年春には北海道と本州を結ぶ北海道新幹線が開業され、東北や北関東などとの交流を飛躍的に発展させる好機となり、北海道にとって新時代の幕開けとなります。

    当組合では、より実践的な勉強会を行い、全日シール連合会と協賛会の皆様との密な情報交流を促進し、強い団結と向上心をもち、シールラベル業界の発展をもって、地元に働きかける活動を積極的に進めて参ります。

    最後に、新しい年が皆様にとりまして、輝かしい未来に向けて歩みを進める年となりますよう、心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。

  • ■ EPSON SurePress L-4033A デジタルラベル印刷機導入

  • ■ 「CCM」コンピューターカラーマッチング設備 導入記事

    北海シーリング株式会社(札幌市西区発寒、●011・665・1271)は、効果的な設備投資により合理化を実現。昨年9月にもCCM(コンピューターカラーマッチング)と計量装置などを導入し、調色作業を自動化した。目的は「調色作業の時間削減による合理化」と「インキの作製ロスの抑制によるコスト削減」。導入後に感じた利点や、設備投資を成功させる判断ポイントに迫った。

    同社では1日につき3、40色の特色を作製している。システムを導入するまではオペレーターが経験と勘によりハンドメードで調色していた。調色作業は、実際の調色時間は5分程度だったとしても調整を繰り返すと、1色あたり30分程度はかかってしまう。システムを導入し自動化を図ったことで、リピートであればすべての作業が5分程度で完了できるようになった。

    それでも同社の強みは全員がハンドメードで調色できることだという。いくら自動化しても、材質や環境によって色が一発で調色できないことは珍しくないからだ。その都度オペレーターが微調整するのだが、補正した配合データはシステムにフィードバックしている。

    印刷機のメーカーや機種によって、印刷される色目が異なる。調色を自動化することで、労力や時間、コストを削減できても、人の目と手による補正は必要になる。同社では印刷機のオペレーターから1人を調色専門の担当に据えた。

    有原常貴社長はこの理由について「自分で印刷機を動かしたり、特色インキを練った経験がないと刷り色が想定できない。調色の自動化のメリットを一層生かすためには、ある程度の経験と知識は必要になるのでは」と話す。

    「品質の安定化」も実現できるが、こと同社に関しては前述のとおりすべてのオペレーターがハンドメードで調色できたため、過去に苦労してきた経験はないようだ。10年、20年のキャリアを持つオペレーターも少なくなく、従業員の定着率はよい。顧客からの色に対するクレームは非常に少ないので、品質面での自動化の利点は、こうしたよい部分をさらに強固なものにしたいという方針のあらわれになっている。

    一方、システム導入による「コスト削減」の効果は大きい。同社では最終的に材料ロスを現在の半分程度まで抑えたい考えだ。資材コストが上昇しているさなかだが、これが実現できれば業績面では大きな貢献だ。

    「インキのロスを調べてみると、本当に驚く量を廃棄している。極端に言えば、作製した量の半分近くを捨てているイメージ。特色を作った際に、使用量より余分に作って在庫しておくのだけれど、結局使わない。余剰在庫は増えるし、容器も邪魔。中にはハンドメードの調色に失敗して捨てる分もある」

    「配合をデータ化しておけば、足りなくなってもすぐに作れるからストックする必要はない。廃棄コストも削減できるし、工場内のスペースも有効利用できる」(有原社長)

    この自動化システムはUVインキ専用であるため、今後は酸化重合インキで印刷する仕事の一部をUVに変えるなどして、稼働率を向上させる考えだ。

    新色の調色について時間短縮を図り、合理化を進めている。当然、配合データも集積されるので、運用するに連れて効果は出てくるに違いない。

    最後に有原社長に設備投資の姿勢について聞いた。

    「石橋をたたいてたたいて、ギリギリのタイミングまで我慢する。設備投資は企業の存続を左右するもの。成功すれば繁栄をもたらし、失敗すれば足かせになる。身の丈に合った最大限の設備をすることが目標。そのためには情報収集が重要。先端の知識を持っていないと、市場では取り残されてしまう。真新しい生きた情報を得ている会社が厳しい時代でも事業を続けていける」

    不況下では投資ミスは許されない。しかし動かなければ成長はないし、活性しないことがかえって衰退を生むだろう。

    それでも機械を導入すればもうかる時代は終わってしまった。機械を動かす人、導入時期を決める人の判断が成否を分ける。