インタビュー記事紹介

  • ■ デジタル化による可能性の追求 北海シーリング(株)

    「米アップル社のパーソナルコンピューター(以下PC)が日本語に対応し上陸する。」たしか80年代半ばにそんなニュースがテレビで流れたのを、パソコン等とは全く無縁の私にも、何か驚異的なことであるのだと感じ記憶している。当時、製版設備の一部電算化でもまだまだ数億という巨額な設備投資を要した時期でもあり、後にこのアップル社のPCが、部分的にではあるがそれらに代わり、我々の業界でも普及するとは想像も出来なかった。

    90年代に入り日本語イメージセッター等の周辺機器が急速に進化しアナログからデジタルへの移行、PCのハード・システム・アプリケーション共に熟成した頃1995年、着手するには最良の時期と判断し、当社の製版デジタル化へ向けての第一歩は、初期投資約400万円をかけて行った。オフセット印刷業界が着々と高品位デジタルの体制を確立する時期、印刷産業でシェアが低くあらゆる面で開発の遅れている我々シール・ラベル印刷業界にとっても、印刷品質の向上をはかりデザイン・版下・製版部門の社内構築を可能にする為には、まさに打ってつけの機器であった。

    導入により当社の保有する印刷機や、デザインや材質にあった印刷線数、マージナル・色調ムラの回避、保管データによる再版変更又は新規類似品の再利用等、デジタル化によって多数の恩恵と、多大な無形資産・電子資産が生まれている。デジタル化は社内の販売業務にも取り入れ、旧式のオフコンから2000年を期に、社内オリジナルの受注見積・販売管理システムをパソコンベースで起動させた。このシステムは、営業マン・各部署全てに端末を配置し、当社独自の複雑な製造工賃計算と、受注から販売業務・生産管理を処理し構築を続けている。

    現在では、デジタル機器はもう保有していることが会社のセールスポイントにはなりえない。一例で当時は1台100万円もしたPCが、現在では20万円程でさらに一時のスーパーコンピューターをも凌ぐ性能で入手できてしまう、他社との差別化をはかるためには、これまでに社内で構築したあらゆるデータを最大限に生かし、お客様と我々のアイデア・イメージを増幅し、形あるものに替える技術と結果こそを、アピールすべきだと考える。機器を操る人間の能力と、構築し続けるノウハウこそが最大の武器になると…。

    今後もこれまでの概念を捨て、デジタル化により更なる可能性を追求したい。