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■ ラベル業界CTP元年 何が変わるのか?
ラベル新聞(業界誌)インタビュー記事・・・2007.2
北海シーリング(株)(札幌市西区発寒11条、有原常貴社長、●011・665・1271)はこのほど、大日本スクリーン製造の樹脂凸版CTP「PlateRite (プレートライト)FX870」を導入。さらにカラープルーフにキヤノンの複合機「imagePRESS(イメージプレスC1)」を設備投資し、プリプレスのシームレス化に向け動き出した。本紙では同社のデジタル化のねらいと運用方法についてリポートする。
「07年はラベル印刷業界にとってCTP時代の幕開けになる」
ようやくデジタル版を含むCTPの周辺環境がそろった昨年、複数の関係者はそう断言していた。それを裏付けるべく、樹脂凸版のCTP化に関するラベル印刷会社の検討は現実味を帯びているようだ。北海シーリングでは、数年前からCTP導入を検討してきた企業のひとつ。同社では1月末に「プレートライトFX870」を導入したばかりだ。これまで外注していたフイルム出力工程を内製化した。カラー受注の増加とともに増大する出力コストはCTP導入による内製化により大きく削減できる計算。さらに直接、版を作製することで、納期対応も可能になった。しかし、本当の効果は「コスト」でも「納期」でもなかった。有原社長はCTP導入のねらいについて、品質面を強調する。
「今回の設備投資で一番の目玉は『品質の向上』にあると言えます。グラデーションの表現や薄い網の再現性の高さは抜群です。オフセット印刷との差が埋まるのではないかと思います」。CTPによる再現についてメーカーは「1%の網点から再現できる」とうたっている。アナログ製版では2~3%程度が日常業務のレベルで再現できる限界だけに、限りなく1%に近いレベルをコンスタントに再現できる恩恵は非常に大きい。デジタル化のメリットは、高レベルの樹脂版を安定してつくることができるという点に尽きるのではないだろうか。
有原社長は「刷版に関してコントロールが容易になることがデジタルの強み。CTPは露光時間が多少、前後する程度では、アナログで生じたようなドットゲインの問題はありません」と評価する。
潜在的なロスを削減するのにCTPが果たす役割は大きい。しかしCTPを導入しただけで、顧客が期待するだけの品質を生み出せる環境が整ったというには余りにも不十分だ。
同社ではCTP化を機に、新たなワークフローの構築に着手。カラーマネジメントを推進し、他社との差別化戦略を打ち出している。
有原社長は「当社の顧客には一般印刷会社も多く、こうしたお客様の中には、凸版を使ったラベルのカラー印刷に対して『色の管理は一般印刷に劣っている』という認識をお持ちです。当社が『イメージプレスC1』を導入し、色校正の環境を整えることで、こうした偏見が少しずつ薄らいでいくことに期待しています」と語る。
同社では今後、16台ある印刷機の大半を生産性が高く小ロットにも対応できる間欠輪転機に移行し、合理化を推進。CTPとカラーマネジメントを核としたワークフローを構築する。
カラーマネジメント環境の整備により、将来的にはCMYKの色再現域にとらわれない印刷技術にも挑戦する考えだ。
その背景には、6色や8色などインクジェットプリンタの多色化により目の肥えた消費者ニーズがある。
デジタル化は、顧客を満足させるために不可欠な選択肢だった。デジタル化の進展により実現する技術がアナログの限界を超えたことで、新たな目標がみえてきた。
有原社長は「ラベル業界ではデジタル化を恐れていた時代がありましたが、私は、それをいかに味方につけるかということを考え続けていました。印刷物の良しあしは大抵、版の仕上がりで決まります。CTPを入れたんだから、それをフルに生かせる環境にしなければいけないわけです。凸版にこだわり、品質に関しては全国で勝負できるようになりたい」と抱負を語った。
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