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■ 『訪問!技術優良工場を歩く』 北海シーリング株式会社
ラベル新聞(業界誌)インタビュー記事・・・2018.7
――まず、北海道協組の理事長に道内経済の近況を
「道内基幹産業の柱である水産では鮭、サンマ、イカ、ホタテなど全体で漁獲量が減少している。これの影響で、水産加工品に関わるシール・ラベルを含む関連資材の需要が減少している状況だ」 「訪日外国人は一時期の爆発的な増加から一旦落ち着いたものの、海外のLCCを中心に新千歳への就航路線が年々増えていることから、インバウンドは好調。食品加工物などの輸出量も増加していることから、北海道経済全体ではビジネスチャンスが広がっている」
――貴社の特徴と強みは
「当社は早い段階からラベル印刷とスクリーン印刷の自社製版を行っており、印刷と製版の両輪で技術向上に努めてきた。生産設備は現在、小・大型の凸版間欠機、凸版輪転機をはじめデジタル印刷機、CO2レーザー加工機を設備。これら特徴の異なる各種印刷機のオペレーション技術も含めて、バランスの取れた製品をご提供できる体制を確保する点が当社の強みだ」 「またデジタル原稿データやインキ調色データも管理・運用して、使用機械を問わず社内で印刷するすべての製品が基本的に共通品質になるようなトータルソリューションを構築している。これがシールラベルコンテストへの入賞、ひいては技術優良工場を名乗らせていただける、当社のコアとなっている」
――コンテストと貴社の歴史をひも解くと
「最初の応募は1991年の第2回開催。輪転のカラー印刷で協賛会会長賞をいただいた。その後、第8回(98年)でスクリーン印刷用のソフトを使用し特色分解で〝誤差拡散法方式〟、いわゆるFMスクリーンの走りの技法を用いた作品が連合会会長賞を受賞した」 「第10回(2000年)は、樹脂凸版で230線の印刷で日印産連会長賞、同年『世界ラベルコンテスト』の受賞と次第に上位へ。そんな当社の最上位は第17回(07年)、経済産業省商務情報政策局局長賞、同年の世界ラベルコンテスト受賞だ。初めてラベルコンテストに実用化した樹脂凸版のFMスクリーン印刷を出品したのは、この時のわれわれであったと記憶している。当社にとってのシールラベルコンテストは〝自社の技術レベルを確認するタイミングで応募する〟、といったイメージだろうか」
――技術優良工場認定制度についての雑感は
「北海道協組の理事長として連合会の理事会に参加しているので、この制度が生まれた経緯や趣旨はよく理解している。制度の運用を通じて副次的に連合会の収入を補てんできるため、上部団体の運営を支えたいとの思いもある。JFLPの新規事業を、管理側としても取得企業としても今後醸成していきたい」
――現在の運用方法は
「自社ホームページへの認定ロゴ掲示と、当社営業の名刺に同ロゴを表記している。ラベルコンテストの意味や話題作りと、当社なりの見解で自社アピールのツールにして運用中だ」 「ただ大々的にPRしておいて、次にコンテスト入賞を逃し認定取得が取れないと…というリスクを想定すると、どこか心にブレーキがかかるのも事実。取得企業の経営者には、ある程度の覚悟も必要かも」
――取得後の変化などは
「社内では〝彼が獲りました〟と目につく通路に栄誉を掲示している。本人としてはくすぐったいだろうが、喜んでくれているようだ。これに喚起され、次回コンテストに出すよというときに『次はぜひ自分がやりたい』と周りの手が上がってくれれば」
――懸念や課題があれば
「ほぼ毎年ラベルコンテストに応募する一企業として、またかつて技術委員として実際にコンテストの審査を務めた者の雑感だが、JFLPがこれまで運用してきたいわゆる〝審査基準〟と、近年少しポイントが変わったようにも感じる」 「ラベルコンテストは技術レベルの一つの尺度として、また技術優良工場認定制度はその栄誉として。運営側であるJFLPとしては、高いレベルで印刷品質が審査できる環境を維持することが重要だと考える。それが継続できれば制度も発展していくだろう」
――最後に思いを
「約30年に渡るシールラベルコンテストの歴史は、日本独自の高い品質レベルをお客さまと市場に浸透させる一因になったのでは。今回この技術優良工場認定制度が、社内意識と技術を高める手法として役立ち、さらに当業界のレベルを高めて他業種の参入に対抗する一つの意義ある事業になれば。認定工場を名乗る1社として、ラベル業界の国内品質を高いレベルでけん引する存在になりたい」
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