インタビュー記事紹介

  • ■ シール・ラベルコンテスト 受賞企業に聞く 北海シーリング

    全日本シール印刷協同組合連合会(田中祐会長)主催の「第28回シールラベルコンテスト」で、北海シーリング㈱(札幌市西区発寒、有原常貴社長、電話 011・665・1271)は経済産業省商務情報政策局長賞を獲得。2年ぶりの応募となる今回は、新たに「チェンジング箔」を採用したラベルで挑戦し、その高い技術力が認められる結果となった。受賞作品で採用した技術と、同コンテストに対する〝想い〟をリポートする。(内田)

    同社では現在に至るまで、全社を挙げてラベル製造に関する技術力向上とノウハウの蓄積に注力。その一環で、シールラベルコンテストへの応募も推進しており、第26回では優秀賞を得るなど、オペレーターのスキルは着実に伸長している。特に今年から「CPT(コンテストプロジェクトチーム)」を設立。日ごろの業務で製造したラベルの中から優れた製品を複数リストアップし、実際に委員会で審査を重ねた上で本番に臨んだ。

    なおコンテスト応募にはこれまで、有原社長が中心となって取り組んできたが、今回はあえて携わらず、田中大輔工場長をはじめ、CPT主導で挑むことに。田中工場長は、コンテストに際して「当社は前々回に優秀賞を獲得し、前回は諸般の事情から応募を見送った。『技術優良工場』認定制度に基づくと、今回の入賞を逃した場合、優良工場の資格を失効する。そのような状況で、社長の力を借りず、社員で取り組むことになったため、責任は重大と認識していた。それだけに、前々回以上の賞を獲得できたことは、社員にとっても大きな経験を得ることができた」と振り返る。

    経産省商務情報政策局長賞を受賞した作品は、北海道で高い認知度を誇る洋菓子メーカーの㈱ベイクド・アルルが北海道開拓150周年を記念して販売した「北海道純白ロール」のデザインにアレンジを加えたもの。ラベル中央に箔押しされた北海道を、上部には道開拓150周年を意味するマークを配置。さらに北海道をイメージさせるイラストが四隅にデザインされている。有原社長は「北海道のラベル印刷会社として、コンテストの応募にふさわしいデザインだっただけに、上位賞の獲得は素直にうれしい」と顔をほころばせる。

    応募部門は自由課題の「レタープレス」で、凸版間欠機を活用し、合成紙にCMYK+ニスの5色印刷と箔押しを加工。ニスは樹脂凸版を活用し、アイヌ伝承の文様を効果的に塗工しているほか、北海道がデザインされた箇所には同社初の試みとなる複雑な図柄のチェンジング箔を加工したことにより、視覚的効果を盛り込んだ。

    印刷ならびにニス加工の製版は、CTPによる自社製版。175線のAMスクリーンながらも、細かい文字の掛け合わせや細かい網点などで再現性の高い印刷を実現しており、全日シール連の技術・特許委員会による講評でも「購買意欲をそそるラベルに仕上がっている」との高評価を得た。

    一方、チェンジング箔については「過去にもこの技術を手がけたケースがあったが、その時は満足のいく仕上がりとはならなかった。だからこそ今回は、そのリベンジという意識で取り組んだ。チェンジング箔は難しく、印圧が強くなり過ぎると模様がつぶれてしまい、また版温度のコントロールが適正でないと、視覚的効果が得られないといった課題がある。当作品を手がけたオペレーターはキャリア25年以上のベテランで、チェンジング箔の加工に絶妙のバランスによる再現性を可能にした」(田中工場長)と説明する。

    同コンテスト参加の意義について、田中工場長は「当社のラベル製造に関する技術レベルが、全国のラベル印刷会社の中でどのポジションに位置しているかを確認できる絶好の機会と考えている。コンテストを通じて当社の技術力に対する底上げに努めたい」とコメント。

    また、有原社長は「上位賞を受賞した技術力をもっと内外へアピールする予定。個人的に、受賞企業は付加価値の高いラベル製造にも対応できる〝企業のブランド訴求力〟といった点で効果が大きいと認識している。これからもコンテストへの応募に際しては、常に最高位の経済産業大臣賞を狙っていきたい。その先には、ラベル印刷業を営む企業としての成長がある」と、今後の抱負を語った。