インタビュー記事紹介

  • ■ 利益率向上と雇用促進を 三條機械製作所の「JNAS」導入で効率化図る

    同社は道内を商圏とし、製造するラベルの8割以上を食品分野が占め、このほかにもイベント向け粘着シートなども受注している。しかし2020年以降は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、イベント開催の自粛を受け、案件の多くが消失する厳しい状況に直面した。 直近のビジネス動向について、有原社長は「食品向けラベルが手堅く、最も厳しかった20年を乗り越えることができた。現在は行動制限の緩和が進み、収益も回復傾向にあるが、今度は粘着紙やインキなど材料価格の急騰が利益率を圧迫するなど、厳しい経営環境は続いている」と話す。

    同社では安定した企業成長を目的に、オペレーターの世代交代を積極化。近年は、地元の若者を毎年2人ずつ雇用することで、製造現場の若返りを図る。さらに従業員が業務に専念できる労働環境づくりに注力。「雇用確保のためにも収益は伸ばさなければならない。しかし昨今の材料価格上昇や働き方改革への取り組みなどハードルが少なからず存在する。加えて印刷・加工の技術継承には時間と育成のためのコストが求められる。そのような背景から、当社では最適な設備投資によってオペレーターの負担を軽減し、雇用促進を推進する方針」(有原社長)としている。 同社が保有している印刷機は、凸版輪転機が2台、凸版間欠機が9台、平圧機1台の計12台。特に凸版間欠機は今夏、機種の入れ替えを行い、三條機械製作所が新たに開発した「JNAS」を導入した。

    同機種を選択した理由について、有原社長は「JNASに搭載されている自動見当調整・監視システム『ARCS』に興味を抱いた。メーカーの話によると、世界的なサプライチェーンの混乱によって部品調達が厳しく、納品に遅れが生じていると聞き、テストも行わずに導入を決断した。もっとも三條機械製作所の機種はこれまでも設備しており、信頼していたこともあって即決したのは事実」とコメントする。 ARCSの特徴は自動的に見当合わせを行う「ニアポイション機能」にある。同機能は送り長を数値で入力すると、あらかじめラベルの余白に印刷された〝色玉〟の中心をカメラが認識し、数値に従って各ユニットを制御して見当を合わせる。JNASの稼働中に見当ズレが生じても、自動補正することから、オペレーターのスキルに依存せず高精度な印刷を可能にする。

    製造担当者は「予想していた以上に優れていると実感する。設備したJNASは5色+裏1色機だが、誰が扱っても30~40ショット程度で見当が合うため、損紙を大幅に削減できたほか、ジョブチェンジのダウンタイムも短縮。当社が製造するラベルは近年、多品種小ロット化の傾向にあるが、ARCSによって作業の効率化が図られ、残業時間も減らすことができた。省エネ化にもつながり、利益率も向上している」と語る。

    同社では今後の展望として、ラベル市場の変化をいち早く察知し、最適な設備投資を行うことにより、作業の効率化を推進する。有原社長は「従業員が安心して作業に専念できる企業に優秀な人材が集まることで、将来の成長につながると考える。そのためにも利益率向上に有益な設備を積極的に導入し、事業の拡大を目指したい」と語った。